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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【無幻真天楼 第二部・第一回・弐】しっぽの気持ち

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「あれ? 上がったんだっちゃ? 京助」
「おー…お前は食ったんか?」
「まだだっちゃ」
京助と緊那羅の会話が聞こえた
「座るとこねぇの?」
「あるとおもうっちゃ」
角で止まっていた竜之助がその会話を聞いて微笑む
たいした内容の会話でもないのに何故だか落ち着くというか暖かくなる
「先食えばよかったにお前」
「んー…ははは;」
「あ京助だー!!」
茶の間の戸を開けたらしく悠助の声がした
「私麦茶持ってくるっちゃ」
「あんなら俺氷取りにいく」
「ついでに持ってくるから京助食べてていいっちゃ」
「いやいい俺もいくっちゃ」
緊那羅の口調を真似する京助
竜之助が角が顔を出すと並んで歩く2人の背中が見えた
「あいつらなら…」
竜之助が一瞬顔を曇らせた
「…ごめんな…京助…」
「へくしょおッ!!」
竜之助が小さく呟くと京助の馬鹿でかいくしゃみが聞こえた
「ねぇ竜之助」
「ん?」
母ハルミが味噌汁を飲み干した竜之助に声をかけた
「阿分ちゃんが見当たらないんだけど…」
母ハルミの言葉に反応したのは矜羯羅
「そのうち腹減ったら出てくるんじゃないのか?」
「アンタって人は…っ」
ハッハと笑った竜之助の耳を母ハルミが引っ張る
「…んがら?」
矜羯羅が立ち上がり茶の間から出ていった
きょとんとする制多迦
「私探してくるっちゃ」
箸を置いた緊那羅が立ち上がる
「この台風の中外にはいないと思うけど…」
「おいちゃんも探す」
「私も探すナリ」
烏倶婆迦と慧光も立ち上がった
「私たちがいくから緊那羅はご飯食べてていいナリ」
「あ…うん」
緊那羅に声をかけて慧光が茶の間から出ていく
窓にぶつかる雨は更に勢いを増していた
「ごっそさんっ」
京助が軽くゲップをして茶碗を重ねる
「俺も探してくる」
「あらお願い」
「頼んだぞ京助」
「へいへい;」
やややる気無さげな返事をした京助を見た緊那羅が残っていたおかずを一気に口に突っ込んだ
そして
「ごちそうさまだっちゃっ」
急いで茶碗を重ねて持つと京助を追いかける
それを見て竜之助が微笑む
「アンタもいきなさいアンタも」
母ハルミが竜之助の頭を叩いた
「…ルミママさん」
「あらなぁに?」
制多迦が母ハルミを呼んだ
「…のねタオル欲しい」
「タオル?」
聞き返した母ハルミに制多迦がうなずく
「…きれば5枚くらい」
制多迦が片手を開いて言った

ガチャンと流しのシンクに京助が茶碗を置いたすぐ後緊那羅が台所に入ってきた
「私もっ;」
「おま…;」
そしてシンクに茶碗を置いた
「私もいくっちゃっ」
「…口の端にタレついてんぞ」
京助に指摘され緊那羅があわてて口をぬぐう
「待ってとか言えばよかったじゃん;」
「だ…って;」
緊那羅がうつ向く
「…言ったじゃん一緒にいたいなら待っててやるって」
「…京助…」
「いくぞ」
「うん」
京助がぼそっといった言葉が聞こえだ緊那羅が嬉しそうに笑った