タクシー強盗の恐怖
「残念だな。あと五千円だ」
再び車を発進させた直後、静かに悪人の声がそう云った。
「わかりました。あと、五千円ですね?」
強盗はまたシートを蹴った。
「バカ野郎!あと一万円あるって、てめえがそう云ったんだ。給料日はいつだ!」
「明後日です」
「そうか。今日、俺が五万を手に入れたら、その給料は自由に使っていいぞ」
「はい。ありがとうございます」
「お前、性格がいいんだなぁ」
「何度もそちらにそう云われてますが、バカなだけです」
「算数はもう一度勉強し直せよ」
「はい!頑張ります」