夜が一番短い日
静かになった部屋で洋子がやっと口を開き喋り始めた。
「ねえ、この胸で何人の女が泣いたの?」洋子は義男の裸の胸の上に置いた手の指を這わせ聞いた。
「泣いちゃいねえさ。みんな喜んでいた・・・」
「馬鹿っ!でも、最後は泣かせたんでしょ・・・」
「泣かされたことが多い」
「あら、義男だってフラれるの?」
「自慢じゃねえが、そんなんばっかしだ」
「嘘つきっ!」
義男は質問をそらすように起き上がると、裸のまま立ち上がり洋子に引き締まった尻を見せつけて、部屋の片方にある冷蔵庫に歩き出した。小さな扉を開けると冷蔵庫の明かりが漏れ、義男の筋肉質な肉体を照らした。ガチャリと冷蔵庫の中の小さく仕切られたボックスから缶ビールを取り出すと、その場で一気に飲み始めた。義男の喉仏が小さい明かりの中でゴクリ動くのを洋子は少し離れたベッドから眺めた。
「お前も飲むか?」義男は素っ裸で洋子がいるベッドに向かって歩いてきた。
「いやだぁ~、その裸。何にも着てないから恥ずかしい」洋子はシーツで顔を隠した。
「裸に決まってるじゃないか。お前が脱がせたんだし・・・」
「なんか目の前で見たら恥ずかしい・・・」
「始まる時はいいけど、終わったら恥ずかしいのか?」義男は笑いながら質問する。
「慣れてないもん」シーツの中で洋子は言った。
「へぇ~~、そうなんだ。あの乱れ方からして、いっぱい経験済みかと思った」
「・・・そんなにないよ」
「俺で何人目だ?」義男は別に聞きたくなかったけど、話の流れで聞いてしまった。
「・・・・二本目・・・」
「はん?二本目・・・イッポン、ニホンの二本目かぁ~?棒みたいだな」義男は笑った。
「どう数えたらいいの?」
「普通、二人目とか言うんじゃない?」
「じゃ、二人目・・・」
「馬鹿っ、二本目でいいよ」義男には本数で言われたことが面白かった。