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最後の魔法使い 第五章 『再会』

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帰ってきてすぐに、ジュダはまず練習はどうだったかアレンに尋ねた。
「ちゃんと火は使えた?」
「はい。でもあの…『箱』いらなかったみたいです。」アレンが答えた。
ジュダは眼を丸くした。「使わなかったのかい?」
「なんていうか、最初に箱を開けた時、こう、記憶のパーツが頭に浮かんだんです。なんてことない記憶ばっかりだったんですけど、ひとつだけ、俺の知らない、見たことのない女の人の顔も浮かんだんです。そのひとを思い出してみたら、手に火がついたんです。」
アレンの説明に、ジュダは、うーん、とうなった。「どんな人だった?」
アレンはその人の顔を思い浮かべようとした。手に熱がこもるのがわかったが、なるべくそれは気にしないようにした。
「華奢な人でした。やさしそうで…栗色の髪と、ブラウンの目をしてて…俺、どこかで見た気がするんです。」また記憶の中で、女の人はほほ笑んでいた。その人の瞳がさらに近づいたとき、アレンは、あ、と気がついた。
アレンの言葉を聞いたジュダは、神妙な面持ちでいたが、やがて口を開いた。
「アレン、たぶんその人は…」

「…俺の本当の母さん、ですよね。」

ジュダはこくりとうなずいた。記憶の中の、アレンの母親は、『やっと思い出してくれた』とでも言うように、記憶の中のアレンをギュッと抱きしめた。