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最後の魔法使い 第五章 『再会』

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アレンは迷ったが、首を振った。結局あの一度だけしか『無警戒の箱』は使わなかったのだ。ディディーは、そうか、と呟いた。
「あれはな…俺が昔働いてた町でもらったもんなんだ。ノースイーストの外れだったかな。友人ってほどじゃねぇけど、まぁ親しい奴がくれたんだよ。そんな大層なもんだなんて思わなかったから、ジュダさんに最初聞いたときは驚いたよ。大事に使ってくれるといいけどな。」
そう呟くと、ディディーはドアを開けた。くるりと振り返って、アレンにニッと笑いかけると、ディディーは言った。「じゃぁな。気をつけろよ。」
アレンは「さようなら」と言ったつもりだったが、のどが詰まって声が出ないようだった。ふと、アレンはテーブルに目をやった。小さな麻袋に懐中時計が入っていた。裏には、『D』とほってあって、おそらくディディーのものだろうと、アレンは思った。追いかけようとドアを開けたが、ディディーの姿はすでに森の奥深くに消えていた。