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最後の魔法使い 第五章 『再会』

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それを繰り返している間にいくらか時間がたった。すっかり日は昇り切って、円の中はシャツを着ていられないほど熱くなった。アレンは汗でくたくたになったシャツを脱いだ。魔法の練習をしている時は夢中で気がつかなかったが、よく見ると、シャツの裾に点々とコゲができていた。それを見て、借り物のシャツに悪いことしちゃったな、とアレンは申し訳なく思った。
焦げたシャツと『箱』を抱えて、アレンが家の中に入ると、ディディーは荷物をたたんで今にも出て行きそうな様子だった。アレンの姿をとらえると、ディディーはニッと薄く笑った。
「おはようさん…つっても、もう昼すぎだな。」
アレンは時計に目をやった。たしかに、時計の針は12時から遠く離れた位置をさしていた。
「もう帰るんですか。」浮浪者に「帰る」と聞くのもおかしいよな、と思ったが、アレンはほかに適当な言葉がみつからなかった。
「ああ、まあな。ジュダさんにはいろいろ世話になってるから、長居するわけにはいかねぇンだ。」ディディーは荷物入れを担いだ。
「これでサヨナラってことになるかもしれねぇよな。いつまでもここに居れないんだろ?」今朝の会話を聞いていたかのような口ぶりだった。
「そうですね…。」アレンが言った。「あの…いろいろありがとうございました。」
ディディーはアレンの顔をじっと見た。今までにないくらい真剣な面持ちだった。「…ところで、お前、火は使えるようになったのか?」
「まぁ…なんとか。まだちょっと火が出せるくらいです。」アレンが答えた。
「『箱』は使ったか?」ディディーはアレンが持っていた『無警戒の箱』を指差した。