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最後の魔法使い 第五章 『再会』

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その時、また指先からエネルギーが出て行く感じがした。目をそっと開け、アレンはうずく指先に力を込めた。すると、まるで蛇口から流れる水のように、細い炎がアレンの指先で踊り始めた。アレンは眼を丸くして、とっさに『無警戒の箱』の方を見た。箱はびくともせずに、しっかりと閉じられている。ジュダの言う通りなのであれば、アレンは箱を使わずに『警戒』を解いているということになる。
「まさかそんな…。」
自分はロウアーであって、アッパーでもある?ロウアーであることには誇りが持てる。だがアッパーであるということは、ウェストや自分の本当の家族を、理不尽に焼き払ったり追い出したりする、あの卑怯なアッパー達と同じということになる。どうして受け入れられるだろう?ジュダは火の魔法が使えないと逃げられないというが、今まで信じてきた自分を、全否定しないといけないのだろうか。その考えに、アレンは吐き気さえ感じた。
だが実際、こうしてアレンは、『無警戒の箱』を開けることなく、火の魔法を使っているのだ。魔法使いであるということを―アッパーでもあるということを―受け入れている、ということだ。自分は頭がおかしいのだろうか?とアレンは思った。
力を抜いた瞬間、炎はさっと消えた。確かめようと、アレンはもう一度、先ほどと同じように力を込めてみた。脳裏にさっと、あの女の人の顔が浮かんだ。さっきよりもずっと鮮明に。
すると、炎が当たり前のようにアレンの手を覆った。熱くはなかった。