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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【無幻真天楼 第二部・第一回】夢風鈴

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ザザザザザザ!!

地面をなにかが走る音が近づいてきたかと思うと上ったばかりの朝日の中に二つの影
それが縁側の乾闥婆と烏倶婆迦目掛けて降ってきた
「乾闥婆!!」
すかさず迦楼羅が駆け出し右手を前に出す
「沙汰さまぁああああ!!」
二つの声が合わさり呼ばれた名前に迦楼羅と乾闥婆の目がほぼ同時に見開かれた
スココン
矜羯羅が飛ばした玉が二つの影にヒットするとその影が庭に落ちた
「い…いたいある」
「や…やっぱり矜羯羅は敵ある」
二つの影の正体は阿分
矜羯羅の玉が当たったらしい額を押さえて庭にうずくまっている
「お前ら…今なんと言った…?」
迦楼羅が庭を見下ろし阿分に聞いた
乾闥婆が烏倶婆迦の服を握ったまま阿分を見る
「沙汰様ある」
「そこにいるの沙汰様ある」
阿分も乾闥婆を見て言った
「何故お前らが…」
迦楼羅が間にに立ち阿分をにらむ
「…乾闥婆?」
烏倶婆迦が乾闥婆を呼ぶ声を聞いた迦楼羅が振り返ると乾闥婆が俯いていた
「おいちゃん…お前たち嫌いだ」
烏倶婆迦がお面の顔で阿分の方を見る
何とも言えない空気が漂った
「あーコンちゃんタカちゃんおはよー」
「おはようございます制多迦様矜羯羅様」
その空気を壊したのは明るい悠助の声
「あっかるらん!! けんちゃんうぐちゃんもおはよー」
「…はよう悠助」
ひょこっと和室に顔を出した悠助の頭を制多迦が撫でた
「主!!」
「えっ?」
「あるじぃぃぃぃー!!!!」
悠助の姿を見るなり阿分が声をあげ悠助に飛びかかってきた
スココーン
「危ないよ」
制多迦が悠助を抱き上げると矜羯羅がまた玉を2人に当てた
「い…いたいある;」
「ま…またやられたある;」
さっきと同じような場所に当たったらしく阿分がまたうずくまる
「だぁれ?」
「なんですかこいつら」
制多迦から悠助を奪い取った慧喜が阿分を睨んだ
「…っと知らない」
「こいつらは僕らを知ってるらしいけど僕らは知らないしね」
制多迦と矜羯羅が答える
「悠助を見て主って…」
「あるじ?」
悠助が慧喜を見上げた