【無幻真天楼 第二部・第一回】夢風鈴
「イチャイチャは他でやってほしいあるな」
「イチャイチャは2人の時にやってほしいあるな」
「なっ!?;」
わざと聞こえるようにいった阿分に京助と緊那羅が声を揃えた
「イチャイチャしてねぇッ!;」
「イチャイチャしてないっちゃッ!!;」
「息ぴったりあるな」
京助と緊那羅がハモって怒鳴ると分が突っ込む
「…何をしているのだ…;」
「朝から元気だね…」
聞き覚えのある別の声に更に突っ込まれて京助と緊那羅が揃って振り返った
いつのまにかそこにいたのはいつもの面々
「まったく…何事なのだ?」
呆れたように迦楼羅が聞く
「あー!!!!」
途端阿分が迦楼羅を指差して声をあげた
その声に一同が驚き止まる
「な…んだ?;」
迦楼羅が後ずさった
「迦楼羅様ある!!」
「間違いねぇある!!ちぃせぇあるがそのクッソ目付きの悪い顔は迦楼羅様ある!!」
「ぶっ」
迦楼羅を指差しながら言った阿分の言葉に矜羯羅が吹き出した
「なっ…;」
「何鳥類…お前知り合いか?」
京助が聞く
「阿!!」
分が何かに気づくとバッと瞬時に構えた
「あいつ…」
「お前…矜羯羅!!」
分に続き構えた阿が矜羯羅を睨んだ
「何矜羯羅…お前も知り合いか」
「……さぁ 制多迦知ってる?」
そう言った矜羯羅がちらっと斜め後ろのやや下を見るとおそらく引きずられてきたのだろう制多迦が矜羯羅を見上げた
「…っと…知らない;」
ボサボサの髪で申し訳なさそうにヘラリと笑う制多迦
「だそうだが」
「……」
京助が阿分に言うと阿分の尻尾と耳がしゅんとなった
「仕方ねぇある…あれから随分経ってる…」
「忘れてておかしくねぇある…」
「迦楼羅様は鳥あるから頭も鳥あるよ」
「ちょっと待てお前ら今然り気無くワシを馬鹿にしなかったか?」
地面にののじを書きながら凹む阿分に迦楼羅が突っ込む
「本当にわからないんだっちゃ?」
緊那羅が迦楼羅たちに聞いた
「…知らないよ」
矜羯羅が答えた
「乾闥婆は?」
「乾闥婆?」
京助が乾闥婆の名前をあげる
「鳥類が覚えていなくても乾闥婆は覚えてんじゃね? もしかしたら」
「そうかもしれないっちゃ」
緊那羅も頷く
「けんだっぱ…って誰ある?」
阿が聞いた
「迦楼羅と一緒にいる人だっちゃあなたたちのこともしかしたら覚えているかもっていう…」
「我乾闥婆って名前知らねぇある」
「我もある」
「…まぁ会ってみ? もしかしたらってこともあるかもだしさ」
京助の言葉に阿分が顔を見合わせると揃って頷いた
「んじゃとにかく家行こうぜ? 腹減ったし」
「…そうだね」
「うむ」
迦楼羅と矜羯羅が家に向かって歩き出す
立ち上がった制多迦が服についていた土やらを払って頷くとヘラリと笑い阿分の頭を撫でてから矜羯羅の後を追った
「…制多迦に撫でられたある…」
「…今の本当に制多迦あるか…?」
ぽかんとしている阿分
作品名:【無幻真天楼 第二部・第一回】夢風鈴 作家名:島原あゆむ