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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【無幻真天楼 第二部・第一回】夢風鈴

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「あらあら涼しそうね」
洗濯物をかごに入れてやってきた母ハルミが笑いながら庭に降りた
水の入ったビニールプールに少し狭そうに入っているのは制多迦と矜羯羅
「ハルミママー」
「おいちゃん手伝うよハルミママ」
たたたっと烏倶婆迦が母ハルミに駆け寄った
「慧光ちゃんホースもってるついでに庭にも水まきしてくれないかしら?」
「はいナリ」
だいぶ高く上がった太陽がじりじりと照らす地面に水がまかれる
キラキラと光をうけた水が地面に落ちるとその部分だけ色が濃くなった
迦楼羅の靴をもって玄関に向かっていた緊那羅が庭から聞こえてくる楽しげな声につられるように縁側の和室に行き先を変えた
「緊那羅?」
「あ…京助…」
ばったりと和室の前で京助と会った
「何持ってん」
「迦楼羅の靴だっちゃ」
「鳥類…また窓から入ってきたんか;」
京助が言うと緊那羅が苦笑いを向けた
「なんかずいぶんキャッキャしてんな」
「うんだからちょっと見にきたんだっちゃ」
話ながら和室に入ると洗濯物を干している母ハルミの姿が見えた
「私ちょっとハルミママさん手伝ってくるっちゃ」
「うぃよ」
京助に迦楼羅の靴を手渡した緊那羅が庭に降りると左の方を見て暫し止まる
何かを見たのだろうと思った京助が縁側に出た
「…何してんだお前ら;」
「…や…入れっていわれたから」
2人してビニールプールに入っていた制多迦と矜羯羅を見て京助が聞く
「実にシュールな光景だぞお前ら…;」
「京助ー遊ぼー」
悠助が縁側に駆け寄り京助を見上げた
「遊ぼーっても…ナァ;」
「海でもいけばいいじゃない? 坂田君たちも来てるんでしょ?」
パンッと洗濯物のシワを伸ばしながら母ハルミが言う
「そしてお昼は海で食べましょ? あとから母さんたちもいくから」
【お昼は海で食べましょ】という母ハルミの言葉に矜羯羅が反応して京助を見た
「海ー!!」
「海いくの? 悠助」
万歳した悠助にくっついて慧喜が聞く
「んじゃ俺らは先行ってりゃいいのな」
「父さんたちにも声かけておいて頂戴ね」
母ハルミにいわれた京助
「…ああ」
少し間をあけて返事をした