【無幻真天楼 第二部・第一回】夢風鈴
手を洗ってズボンで手を拭った京助が顔を上げると鏡に映った自分を見る
頬を引っ張ってみる
髪の毛にさわってみる
変な顔をしてみる
鏡の中でも同じことになっている
「…俺なんだな…」
ぼそっと言った京助
朝に考えていたことをまた思い出していた
もしこれが【夢幻】だったとしたら?
【夢幻】だったとしたらどうする?
【夢幻】だったらいつかは【現実】に帰らないといけない
だったら…
「うっしっ!!」
京助が気合いをいれて鼻息を出した
いつかは【現実】に帰らないといけないならそれまで悔いのないよう【夢幻】の中でやればいいだけのこと
だってそれは【現実】だった時でも悔いはしないから
作品名:【無幻真天楼 第二部・第一回】夢風鈴 作家名:島原あゆむ