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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【無幻真天楼 第二部・第一回】夢風鈴

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緊那羅の部屋で緊那羅を待つ乾闥婆
「はい」
やってきた緊那羅が差し出したのは濡れたタオル
「目…赤いっちゃ」
「…ありがとうございます…」
タオルを受け取った乾闥婆が静かに目にタオルを当てた
「乾闥婆…」
「なんですか?」
「私は何も知らないからあれこれいえないっちゃけど…あの…ね…」
きゅっと緊那羅が両手を握りしめ乾闥婆を見た
「たまには…甘えていいと思うっちゃ…迦楼羅に」
ぴくっと乾闥婆の肩が動く
「なんだか私には乾闥婆と京助が重なるんだっちゃ…甘えたくてもどう甘えたらいいのかわからないみたいに…迦楼羅だって…」
「僕に…迦楼羅に甘える資格なんかありません…僕は迦楼羅の罪なんです」
乾闥婆がタオルで目を押さえたまま言う
「そのワシが甘えろといっているのだ」
網戸になっていた窓から声がしたとおもったら吹き込んできた風
そして網戸を開けて入ってきたのは迦楼羅
「緊那羅」
「…うん…その前に靴…」
土足で畳に降りた迦楼羅が靴を脱ぎ緊那羅がそれを受けとると部屋から出ていった
「…今だけでもいい…甘えてくれないか」
「……嫌です」
「乾闥婆」
「…いや…です…」
「乾闥婆」
「…っ…」
優しい声で名前を呼ばれ二回目は返事ができなかった
「他の者には…甘えて欲しくないのだ…弱い所も見せて欲しくないのだ…」
迦楼羅が乾闥婆の頭に手を置く
「乾闥婆…名前を…呼んでくれ」
「…っ…か…るら…」
絞り出したような声で乾闥婆が迦楼羅の名前を呼ぶと大きな手で包まれた
大きくなった迦楼羅が乾闥婆を包んで抱き締める
小さな乾闥婆の体
「かるら…」
小さな乾闥婆の声
「ああ…」
迦楼羅が返事をすると乾闥婆が迦楼羅の服をつかんだ