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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【無幻真天楼 第二部・第一回】夢風鈴

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「あれ? 阿分」
コマイヌを抱えて茶の間にやってきた竜之助もとい竜が阿分を見て言うとそれまで朝飯を食べていた面々が一斉に竜之助を見た
「あ るじ…」
「どうした?」
うるうると目に涙をためた阿分が肩を振るわせ
「あるじぃぃぃぃー!!!!」
竜之助に向かって駆け出した
「…やっぱりか;」
京助が漬け物をかじる
「あるじー!!あるじー!!」
「よくここがわかったなーお前たち」
竜之助の腰に抱きついて泣きじゃくる阿分
「探したあるーすっげぇ探したあるよー」
「ずっと探してたあるよー」
「はっはっは何だお前たちその話し方」
笑いながら竜之助が阿分の頭を撫でた
ぷす
「…ハルミ痛い」
お盆に追加のおかずやらを載せてきた母ハルミが箸を竜之助の頬に刺した
「その子達…どうしたのかしら? 竜之助?」
「こいつらは俺の式」
「ゼンらと一緒だやな?」
「やっぱりね…」
母ハルミに答えた竜之助の腕にいたゼンが竜之助に聞くと竜之助が頷き矜羯羅が味噌汁を啜る
「なんだ?矜羯羅見たことあるだろう?」
「…知らないよ」
「迦楼羅」
「知らん」
矜羯羅と迦楼羅に続けて否定された
「おかしいなぁ…乾闥婆…」
「…すいませんが」
「おいちゃんも知らないよ」
竜之助が迦楼羅の隣にいた乾闥婆に聞くとその隣にいた烏倶婆迦も一緒に答えた
「主…あいつは沙汰様じゃねぇあるか?」
「主…あいつは乾闥婆っていうあるか?」
再び阿分が口にした沙汰という名に乾闥婆が俯く
「あいつは乾闥婆だ…あ、そうか阿分お前たちちょっと元にもどれ」
「わかったある主」
何かを思い出した竜之助に言われた阿分がクルッと宙返りした
「あ」
阿分がいたところには子犬くらいの大きさの狐のような白と黒の獣
それぞれに白2本黒2本の計4本の尻尾があった
「これならわからないか?」
竜之助が改めて聞くと迦楼羅と矜羯羅、制多迦たちが獣を指差し頷いた
「あなたたち…は…」
「乾闥婆も知ってるの? 前の【時】にいなかったのに」
烏倶婆迦が乾闥婆に聞くと京助が乾闥婆を見た
「え…乾闥婆…お前前の【時】にいなかった…って…でも前の【時】の事…」