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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【無幻真天楼第十四回・参】*あいのうた*

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「ほぎゃぁあああ!! ほぎゃあああ!!」
初夏の栄野家から聞こえる赤ちゃんの泣き声
止んだかと思うと
「ほぎゃああ!! ほぎゃああああ!!!」
数分もしないうちにまた泣き声が上がる
「もー!! お姉ちゃーんッ!!; 操が泣き止まないー!;」
「ほぎゃあああああ!!」
バタバタという足音と泣き声の不協和音
「お姉ちゃんッ!!;」
「いないぞ」
縁側の和室まで来た時竜之助が声をかけてきた
「さっき母親と石段降りていったぞ」
「ええええー;」
「ほぎゃあああ!! ほぎゃああ!!」
泣き喚く姉の子供の【操】を抱いたままハルミが溜め息をついた
「おしめ…かミルク?」
「うぎゃああー!!」
今までに無い泣き声をあげて操が泣き始めた
「ちょ…;」
「母親を探してるみたいだな」
「な…竜之助あんたわかるの?」
操の顔を覗き込んで竜之助が言う
「ふくよかな胸が無い ってさ」
「はぁッ!?;」
ハルミがくっくっくと笑う竜之助を足で蹴る
「しょうがないな」
「えっ…ちょ竜之助!?」
泣き喚く操を竜之助が抱き上げた
「ふええあああああ!! ふっ ふぇあああああ!!」
竜之助が抱き上げると一瞬泣き声が止まったがまた操が泣き出す
「ハルミも」
「えっ?」
竜之助がハルミの手をとった
「赤ちゃんって高い高いすると泣き止むとか」
「え…まぁ…」
縁側から庭に降りた竜之助が空を見上げた
「わっ;」
そしてハルミを小脇に抱えると
「しっかりつかまってろよ?」
「ほぎゃあああ!!」
泣き止まない操を腕に抱き竜之助が膝を曲げた

バサッ 
と何かが広がる音がしたかと思うと上から風を感じた

そして何故か足元にあるはずが無い神社の屋根が見える
そうこうしているうちに電信柱までもが足元に見え始めた
「ほーら高い高い」
「たっ…高すぎだっつーのッ!!!;」
ハッハと笑う竜之助にハルミが半ベソになりながら突っ込む
「何っ; なんなの!?;」
「前にも見たろ? 風呂で」
「前に…も…うん でも…」
何かを一緒に思い出したらしいハルミが赤くなった
「たあーい ぷー」
キャッキャと笑う操を見てハルミが赤い顔のまま微笑む
「笑っ…」
ぐいっと体が持ち上がったかと思うと少しの息苦しさ
「あうー?」
よだれをたらした操がきょとんとする
「二回目」
鼻と鼻がくっつく距離で竜の助が笑う
固まったままのハルミ
「ぷぅあー」
操が竜之助に向かって手を伸ばしてきた
「ん? お前は駄目だ ハルミは俺のだから」
「誰がアンタのなのさッ!!;」
真っ赤な顔をしたハルミが肘で竜之助の顔をドリルのようにグリグリと攻撃した