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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【無幻真天楼第十四回・参】*あいのうた*

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あの日から竜之助はずっとハルミの家である【栄之神社】に入り浸っている
気付けば社の屋根の上にいたり
ふと見れば御神木の上で寝ていたり
かと思えば境内で鳩やスズメと戯れていたり
そして不思議なことに両親も姉も竜之助の話題をしない
まるで見えていないような
まるでそこに居るのがわからないような
細かいことを気にしないハルミでもさすがにだんだんと気になってきていた

「ねぇ」
境内の階段に腰掛けていたハルミが鳩と戯れていた竜之助に声をかけた
「ハルミから声かけてくるとか珍しいな」
バサバサと竜之助の頭や肩に止まっていたハトが一斉に飛び立った
「アンタ…何者?」
「いきなりそうきたか」
竜之助がハルミの隣に腰掛ける
「母さんも父さんもお姉ちゃんもまるで見えてないみたいだし…変な格好してるし運動神経とか…何なの?」
ハルミが聞く
「何なのって…も俺は俺」
「俺はわかった。だからその俺は何なのって話。どこから来たの?」
「天」
竜之助が答える
「何のために?」
「ハルミに会うため」
バサバサと一羽の鳩が竜之助の傍まで飛んできた
「はぁ?;」
「本当」
竜之助が手を伸ばすと鳩がそれに止まる
「俺はハルミが好きだぞ」
「アンタねぇ…だいたいいくつなのさ」
「信じてないのか?」
ずいっと竜之助がハルミに近づいた
「信じる信じないとかじゃなく…っ」
竜之助の手に止まっていた鳩が飛んでいく
「っ…近いッ!!;」
ハルミが竜之助の顔を思い切り両手で押すと立ち上がった
「ハルミ」
「…ばーかッ!!」
そういってんべーっと舌を出したハルミが駆け出す
竜之助が目を細めて笑った