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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【無幻真天楼第十四回・参】*あいのうた*

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「いってきまーす」
紺色のスカートを靡かせハルミが玄関から出ると
「おはよう」
「…はいはいおはようございますっ」
垣根の傍にいた竜之助がにっこり笑った
その竜之助に投げやりに挨拶をしたハルミがさっさと横を通り過ぎる
「挨拶はしてくれるんだ」
「一応ね。おはようって言ってくれたし」
ガチャンと自転車の鍵を外すとその自転車を押して石段に向かう
「さって とっ」
石段の上に来るとハルミが自転車を持ち上げ石段を降りていく
「っとに…毎朝これがなきゃ…って…ちょ…」
ブツブツ文句を言いながら自転車を持って石段を降りていたハルミの手が軽くなった
「いいってば!! 竜之助!!」
「俺らの間に遠慮は禁止」
「俺らの間って何さッ!;」
自転車を担いで石段を降りていく竜之助にハルミが言うと竜之助が振り返った
数段上に居るハルミを見たかと思うと
「白」

ヒュン バコッ

そう口にした瞬間ハルミの通学カバンが竜之助に命中する
「最ッ低ッ!!!! 何見てんのさ!! あーもー一瞬でもお礼言おうとした私が馬鹿だったッ!!」
「一瞬でもお礼言おうとしてくれたとか」
「はいはい!! 自転車貸してッ遅刻するからッ」
竜之助の頭からカバンを取ったハルミが石段の下から言うと竜之助が跳んでハルミの隣に着地した
「相変わらずどんな運動神経してるの?」
「こんな運動神経」
自転車を下ろすと竜之助が微笑みながらハルミを見る
「ありがと」
「あ、お礼」
「一応ね いってきますッ」
ハルミが竜之助から自転車を奪うと片足を乗せ勢いをつけて乗った
竜之助は遠ざかるハルミの背中をしばらく見ていた