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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【無幻真天楼第十四回・参】*あいのうた*

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「京助…」
「だからここにいろ」
真顔になった京助が言う
一瞬止まった緊那羅の口元が綻む
「…うん」
頷いて笑った緊那羅
「絶対だかんなっ」
「わかったっちゃ」
少し照れたような京助と嬉しそうな緊那羅
「京助ー!! どこだー!!」
坂田の声が聞こえた
「全部くっちまうぞー!! 矜羯羅が」
中島の声も聞こえた
「京助」
「いくか」
窓を閉めた京助が歩き出すと緊那羅もそれに合わせて歩き出した
「明日エビフライ食いたい」
「じゃあ買い物付き合えっちゃ」
「あと…」
「いもとフノリ?」
「うむ」
他愛もない会話をしながら二人揃って廊下を鳴らして歩けるそんな何気ない日々
そんな日々が幸せなだけで
そう思えればそれが生きていける理由
「お前食いすぎだろう;」
「悪い? だって美味しいから」
4杯目に口をつけた矜羯羅に坂田が突っ込めば制多迦がヘラッと笑う
制多迦の膝の上でもふもふとキャベツをかじるクロ
「悠助はいウズラあげる」
「ありがと慧喜ー」
「中島はいニンジンあげる」
「いらん」
慧喜が悠助にウズラを食べさせる横で南が中島の皿にニンジンをテンポよく入れ中島はそれを南の皿にテンポよく返している
「こぼしてますよ迦楼羅」
「う?」
「口の周りにもついてますよ迦楼羅…まったく…」
よほど空腹だったのかカレーを勢いよく食べていた迦楼羅の口の周りにはカレー
そして衣服にもカレー
「服には食べさせなくていいんきになかるらん」
それを拭き取る乾闥婆と笑いながら見ている阿修羅
「南のとこのとはちょっと違う味ナリ」
慧光がスプーンをくわえたまままじまじとカレーを見る
「でもおいちゃんこの味好きだ」
口元だけを出した烏倶婆迦がもくもくとカレーを口に運ぶ
「あらぁいっぱいねー」
「立ち食いだなこりゃ」
コマとイヌを抱いた竜之助とハルミが茶の間の戸を開けた
「こっち空いてますよ」
柴田が少し横にずれて手招きをする
「カレーなんだやなー!!」
コマがハルミの腕から抜け出すとゼンへと姿を変えた
「カレーカレー!!」
ゼンに続きイヌもゴに姿を変えた
「お前らただでさえ狭いってんのにわざわざ人型にならんでもよかろう;」
「こっちのがたくさん食べられるんだやな」
「食えるときに食っておくんだなや」
坂田が突っ込むとゼンゴが尻尾を振りながら言った
「まぁごもっとも」
竜之助が笑う
「うっおすっげ;」
「ぎゅうぎゅうだっちゃ;」
「おっせぇぞ京助!!」
最後にやってきた京助と緊那羅が茶の間の中を見てあきれたように笑った
「おかわり」
「おま…自重しろ自重;」
わいわいと賑やかな茶の間
「ほら京助、緊ちゃんも」ハルミがカレーを盛った皿を差し出す
「食うか」
「うん」
京助と緊那羅が顔を見合わせて笑うと茶の間の戸を閉めた