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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【無幻真天楼第十四回・参】*あいのうた*

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「なんだ帰るのか」
竜之助が庭にいた阿修羅に声をかけた
「ああ…ヨシコが心配やんきに」
「…吉祥…か」
「オライは呼ばんに吉祥ってはな」
阿修羅が伸びをしてニカッと笑った
「吉祥って呼んだら…ヨシコもアイツと同じようにさせちまう様な気ぃすんのな」
「阿修羅…」
「今更思うけどな」
阿修羅が伸びた髪を掴むと竜之助に背中を向けると竜之助が手刀でその髪を切った
「あんがとさん」
切られた阿修羅の髪が空に舞い上がる
「阿修羅」
「お?」
竜之助とは違う声に呼ばれて阿修羅が顔を向けるとそこには中島がいた
「あ…えっ と」
何かを言おうとしている中島
それを見て阿修羅がふっと笑った
「ヨシコは大丈夫やんきに」
「っ…;」
言おうとしていたことの答えが先に返されて中島が言葉を飲み込んだ
それを見て竜之助が笑う
「押せ押せだぞ中島」
「なっ…!?;」
竜之助に茶化されて中島が赤くなる
「俺も押せ押せでハルミをだな」
「ばっ…ちが…;」
「はっはっはー」
竜之助に阿修羅が加わり更に中島を茶化す
「だあもうっ!!!!;」
「あんがとな…でっかいの」
阿修羅がお礼をいうと竜之助も頷いた
「んじゃまいくわ」
「ああまたな」
すうっと阿修羅が消えた
「さて…」
竜之助が庭から縁側に上がると中島の頭をポフッと叩いて家の奥に入っていった
竜之助に叩かれた頭を中島が触る
チリンと風鈴が鳴った
「なかじー!! なかじー!! どこだなかじー!!」
「おー!!」
坂田の呼ぶ声がして中島が返事をして家の奥に入っていった

また夏が終わる
風に揺れる風鈴が鳴る
きっと明日も風鈴は鳴ってその次の日も
そうやってめぐる季節