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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【無幻真天楼第十四回・参】*あいのうた*

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「京助」
「悠のリクエスト?」
「うん」
ははっと笑った緊那羅が冷蔵庫から麦茶の入ったピッチャーを取り出した
「手伝う」
「え?」
京助がカレーの鍋に手をかけた
「腹減ったし お前一人じゃ運べねぇだろ」
「あ…う ん」
「…なんだよ;」
「えっ; や…なんだもないっちゃ;」
なんだよと聞かれた緊那羅がビクっとなった
その後が続かない
京助はカレー鍋に手をかけたまま
緊那羅は麦茶のピッチャーを持ったままお互いの顔を見て止まっている
「京助あの…っ」
「…ありがとな」
切り出した緊那羅がきょとんとして言葉を止めた
「何あったのかわからねぇけどお前が俺に何かしてくれたんだろ?」
「何…か…」
少し間をおいて緊那羅の顔がかぁっと赤くなった
「また守ってもらったんだな俺お前に」
「っ…」

自分が京助にしたこと
京助が前にひま子さんを起こしたきっかけ
その真似をした
それを思い出した緊那羅
慧喜が初めてここにきたとき
悠助が言っていた言葉

【あのね僕たちはちゅーって好きな人とするんだってハルミママが言ってたんだ】

今まで自分が京助に対して想っていた想いとは少し違う想いが混ざってきている
でもそれがどういう想いなのかはわからなくて

「緊那羅?;」
「えっ!?; わっ;」
名前を呼ばれて慌てた緊那羅がピッチャーを手から滑らせた
「あぶっ!!;」
それを受け止めようとした京助と緊那羅が二人してピッチャーを掴んだ
「何してんだお前; 疲れてんのか?」
「や…ごめんだちゃ;」
「お前それだけ持ってけ。後は俺が運ぶから」
京助が緊那羅にピッチャーを押し付けるとカレー鍋を持ち上げ台所を出て行く
「あ京助ー」
「義兄様落とさないでね」
「わーってるわ;」
廊下から聞こえる声に緊那羅がピッチャーを抱きしめた