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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【無幻真天楼第十四回・参】*あいのうた*

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「…んがら?」
それに気づいた制多迦が矜羯羅に声をかける
「…この匂い…何…?」
「匂い?」
矜羯羅の言葉に一同がフンフンと鼻を動かす
「…これ…カレー…?」
中島が言う
「カレーだよなこの匂い…間違いなく」
坂田も言う
「カレー? なにそれ」
矜羯羅が制多迦の頬から手を放して聞く
「食べ物ですよ矜羯羅様」
柴田が答えると矜羯羅がぴくっと反応した
「大人も子供もおねーさんも大好きな食べ物」
南が笑いながら言う
「なにそれ…おいしいの?」
「まぁおいしいくなかったら大人も子供もおねーさんも食わないよな」
坂田が言うと中島と南が頷いた
「がらっちょカレーっつーのはなインドの…」
「まぁ食えばわかる」
「…メガネ…オライの出番…;」
説明しようとしたのを坂田に遮られた阿修羅が肩を落とした

「でき…た」
「いいにおーい」
味見用の小さな皿を手にした慧喜の隣で悠助が思い切り息を吸い込んだ
栄野家に広がるカレーの匂い
「僕も味見したいっ」
慧喜に向かい悠助がねだる
「もうご飯だっちゃ悠助」
「えー…味見…」
食器棚から大量の皿を出しながら言う緊那羅
「だったら!! だったら早く食べたいっ!! これ運べばいいんだよねっ緊ちゃんっ」
悠助が緊那羅の出した皿に手をかけた
「重いから私が…って悠助;」
「俺も手伝うよ悠助」
ヨロヨロしながら皿を運ぼうとする悠助に慧喜が駆け寄り皿を半分持った
「ありがとー慧喜ー」
「ううん」
いつものようなバカップルっぷりが戻ったのに緊那羅の顔がほころぶ
「さて…じゃぁ私は…」
緊那羅が冷蔵庫を開けて取り出したのは福神漬けとらっきょう
そして引き出しを開けてありったけのスプーンをお盆に乗せる
「あと…は…ご飯はこのままもってって…鍋も。あ、鍋敷き;」
あちこちパタパタと動いてはお盆に必要なものを乗せていく緊那羅
「…さすがにいっぺんには持っていけないっちゃね;」
カレーの鍋に炊飯ジャー、そしてもろもろの乗ったお盆
「あと…は あ、麦茶…」
「なんだ今日カレーか」
麦茶のピッチャーを冷蔵庫から採ろうとした緊那羅が振り返った