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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【無幻真天楼第十四回・参】*あいのうた*

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風鈴が鳴った
「迦楼羅…?」
「……」
迦楼羅が乾闥婆の髪を乾闥婆の耳にかける
「大丈夫か…」
「…はい…すいませ…」
俯き謝りかけた乾闥婆を迦楼羅が抱き締めた
驚いた乾闥婆の目が大きくなる
「か…」
乾闥婆が迦楼羅の服を掴もうと腕を上げた
「…しばらく…こうしていていいか…?」
ぴくっとして止まった乾闥婆の手がゆっくりと迦楼羅の服を掴む
「…はい…」
乾闥婆が迦楼羅の肩に頭をつけて目を閉じた

「おろせっ!!」
「…なぁばか…」
阿修羅の小脇でキーキー喚いてバタバタ暴れる烏倶婆迦
「…乾闥婆…竜の嫁さんと同じ匂いがするっていうてたんな…」
「そうだよっ!!」
阿修羅が足を止めると烏倶婆迦を下ろした
「…阿修羅…?」
烏倶婆迦が阿修羅を見上げる
真面目な顔で何かを考えている阿修羅
「…二人とも…どこまで真面目で一途なんかな…」
そう言って阿修羅が烏倶婆迦の頭を撫でた

「制多迦様、矜羯羅様ご無事で」
柴田が制多迦と矜羯羅の前に膝をつき一礼した後顔を上げた
「君もね」
矜羯羅が微笑むと制多迦もへらっと笑う
「俺は慧光のおかげです」「えっ」
そう言って柴田が慧光を見た
「わっ…私はっ…ただ私にできることしただけナリ;」
顔を赤くした慧光が制多迦の陰に隠れた
「…くたちの怪我も慧光が治してくれたんでしょ? ありがとう」
制多迦が慧光の頭を撫でると慧光が驚いた顔を向けた
「私じゃないナリ」
「…じゃあ乾闥婆なの?」
「…違いますお二人の怪我…だけではなく周りも直したのは【沙羅】です」
柴田が口にした名前に二人が驚く
「沙羅…」
矜羯羅が繰り返す
「…るらと乾闥婆は…?」
「乾闥婆が取り乱して…今は休んでいるようです迦楼羅はそこに…」
「…そう…」
矜羯羅が制多迦の頬をつねった
「…たい;」
「眉毛下がってるよ…君のせいじゃないんだ制多迦」
みょーんと制多迦の頬を引っ張る矜羯羅
その様を慧光がオロオロしながら見ている
「タカちゃんのほっぺってよく伸びるよねぇ」
南が言う
「餅だな餅」
坂田が柴田の頭に腕を乗せて制多迦を見た
へらっと笑う制多迦
「しまりがないよ」
「…たい;」
矜羯羅が更に制多迦の頬を引っ張る
「おー…伸びる伸びる」
「すごいすごい!!」
南と中島が拍手しながらそれを見る
「お前はあんま伸びねぇな」
「若…;」
坂田が柴田の両頬をつまんで引っ張った
「…何してん;」
茶の間の戸を開けて見た光景を理解できず阿修羅が聞く
「制多迦様変な顔」
烏倶婆迦が言う
「清浄も変な顔」
柴田を見て更に烏倶婆迦が言うと制多迦と柴田が苦笑いをした
「…」
矜羯羅がふと顔を上げた