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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【無幻真天楼第十四回・参】*あいのうた*

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台所の暖簾をくぐった緊那羅
「あ…まだ作りかけだっちゃ…えと…カレー…でいいっちゃ?シチュー…うーん…;」
鍋の中には玉ねぎ、にんじん、肉そしてジャガイモが煮えていた
「僕カレーがいいっ」
「わかったっちゃ」
悠助が緊那羅の腰に抱きついてねだると緊那羅が笑いながらガスコンロに火を着けた
いつもならここで慧喜が悠助をひっぺがしているはず
その慧喜は暖簾の向こうに立っていた
「緊ちゃんうずらは~?」
「あうん悠助とってきてくれるっちゃ?」
「うんっ!!」
悠助が緊那羅から離れて室を開けた
「慧喜」
緊那羅に呼ばれた慧喜がびくっとした
「手伝って欲しいっちゃ」
「…」
「えーき」
ゆっくりと慧喜が暖簾をくぐる
顔をあげない慧喜の手を緊那羅がつかんだ
「味付けしてほしいっちゃ」
「えっ…」
驚いた慧喜が顔をあげると笑顔の緊那羅
「俺…が?」
「そうだっちゃ」
「でも俺…料理とか…それに…」
慧喜が俯く
「私もこっちにくるまでは料理とか全然しなかったし出来なかったっちゃ」
「嘘!!;」
慧喜が再び驚く
「嘘じゃないっちゃ」
「はいうずらー」
悠助がうずらの缶詰めを持ってきた
「最初はハルミママさんから教えてもらったんだっちゃ よく焦がしたり変な味になって…;」
うずらの缶詰めを受け取りながら緊那羅が苦笑いした
「…ある日に味噌汁作ったんだっちゃ」
「味噌汁?」
「うん」
缶切りを取った緊那羅
「僕やりたいー」
悠助がいうと緊那羅が缶切りを手渡す
「気を付けるっちゃよ?」
「はぁい」
クツクツいいだした鍋
「…味噌汁…作って…どうしたの?」
「初めておいしかったっていわれたんだっちゃ」
緊那羅が火を小さくしながら言った
「…義兄様に?」
「なんでわかったっちゃ;」
「緊那羅が嬉しがるのってだいたい義兄様が関係してるし」
「…そう…だっ…ちゃ?;」
緊那羅の頬が少し赤くなる
「できたー!!」
缶を開けた悠助が言う
「はい緊ちゃん」
「ありがとだっちゃ悠助 さ慧喜」
缶を受け取った緊那羅が慧喜を手招きする
「えっ? 今日は慧喜が作るの?」
「そうだっちゃ」
「でも俺…」
「僕慧喜のカレー食べたいー」
悠助が慧喜に抱きついた
「悠助…でも…」
「私も手伝うから」
「慧喜ー作ってー」
悠助と緊那羅に言われて慧喜が恐る恐る鍋の前に立った
「…絶対…おいしくなんか…」
「おいしいよー絶対おいしいっだって慧喜が作ってくれるんだもん」
悠助が言う
「料理って想いも調味料になるんだっちゃ」
「想い…?」
「慧喜が悠助においしく食べて欲しいって想いこめれば大丈夫だっちゃ」
緊那羅が慧喜にお玉を差し出した
「私がそうだったっちゃ」
「…さっきの味噌汁の話?」
慧喜が聞くと緊那羅が微笑んで頷く
「想いって…強いっちゃ 誰かを想うって苦しかったり嬉しかったり…それがいいのか悪いのかっていうのは…わからないけど」
「……」
「でも…誰かを想うことは力になると思うっちゃ」
慧喜が悠助を見た
「…想い…」
「慧喜は…このカレーにどんな想いを込めたいっちゃ?」
「俺…みんなに…謝りたい…そしてみんなでいつもみたいに…」
「うん」
緊那羅が笑う
「お腹すいたー」
「…待ってて悠助 俺…作ってみる…から」
悠助が言うと慧喜が緊那羅からお玉を受け取った