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せき あゆみ
せき あゆみ
novelistID. 105
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ぼくんちはおばけやしき

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「この先にぼくのおじさんちの畑があるんだけど……」
と、まずたかしくんが話し始めた。
「この家の南側には広い畑があるだろう。道は一本道だから、畑に行く人は必ずここの前を通っていく。
 おじさんの畑もそこにあって、ぼくも時々手伝うんだ。
 何年か前の夏のある日、農作業をしていたおじさんは、なぜだか作業がはかどらなくて、いつもより遅くまでかかってしまったんだ。気がつくと、日が沈んであたりはうす暗くなっていたから、大急ぎで後かたづけを始めた。
 でも、片づけがすんだ時は、もうあたりは真っ暗になってしまったんだ。で、この家の前から北側にかけての道は、うっそうと茂ったやぶだろう? だから足下も見えないくらいの暗やみになってしまっていたんだ。
 ぼくなんかも夕方一度通ったことがあったけど、ここはもう真っ暗で、気味が悪かったもんな。
 おじさんはもちろん、当時空き家だったこの家が『お化け屋敷』とうわさされていることも知っている。でも大男で肝っ玉の座った人だから、『お化け屋敷なんてばかばかしい』って、笑い飛ばしていたんだ。
 おじさんは軽トラックでこの家の前を通りかかった。すると、この家全体が白いもやのようなものに包まれているのを見たんだって。
 さすがのおじさんも、びっくりしてあわてて帰ってきたんだ。
 それ以来、おじさんはどんなに忙しくても、日があるうちに作業を終わらせて帰るようにしているんだよ」
と、これでたかしくんの話は終わった。