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せき あゆみ
せき あゆみ
novelistID. 105
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ぼくんちはおばけやしき

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 外観にたがわず、家の中ももちろんママ好みだった。
 居間にはおっきな暖炉があって、家具は全部イギリス風のアンティークでそろえてある。
 広いキッチンは、ママが長いことあこがれていたアイランド型っていう作りで、アンティークのキッチンストーブもある。
 今までその手の雑誌をながめて、ため息をついていたママは狂喜乱舞だ。
 それまで住んでいたマンションは、古くて狭かったから、まるで夢のお城みたい。
「中古だけどいい掘り出し物だろ? ゆうた」
 パパは鼻高々だ。パパも念願の書斎がもてたしね。あ、パパはそこそこ売れてる作家なんだ。
 ぼくは屋根うら部屋をもらった。天窓がついていて、ベッドから星を見ながら眠れるのが気に入ったから。

「ゆうた。一休みしましょ」
 ママが庭からぼくを呼んだ。部屋を片づけていて夢中になっていたけど、もう午後3時だ。
 庭のすみに立っている大きな木の下に、ママはテーブルといすを用意して、とっておきのティーセットを出していた。
「一度やってみたかったのよね。木陰でティータイム」
 ママはルンルン気分で、紅茶を入れている。
「イギリスではティータイムにはこういうものを食べたんですって。スコーンでしょ。それからキューカンブのサンドイッチ」
「キューカンブ? って、ただのきゅうりじゃんか」
 イギリスかぶれのママにちょっと皮肉を言ったけど、サンドイッチは辛子バターがきいてておいしかった。
 家の周りは、白いペンキを塗った低い木の柵で囲ってあるだけなので、あたりの景色がよく見える。畑が青青とひろがって、裏手の方は雑木林がある。
 となりの家がずっと向こうの方に見えるので、なんだかすごく遠くの田舎にでもきたような気分。今まで住んでいたところからほんの車で十分なのに。
 ちゃんと片づくにはもう少しかかるけど、なんとか形になったところで、その日は寝ることにした。ぼくはベッドに入ると、天窓から星をながめた。
「うわあ、最高だぁ。天の川がこんなに近く見える。こんな夜に空を飛んだら気持ちがいいだろうな」
 すると、バルコニーのとびらがいきなり開くと、ベッドがふわり途中に浮いたんだ。
「え? え? なにこれ?」
 ぼくは無意識にベッドのさくにつかまった。ベッドはあいたとびらから外へでると、家の屋根の上を飛び回った。
「わあ、すごい。すごい」
 しばらくの間、ベッドは家の周りを飛び回ると、やがてぼくの部屋にもどった。
「今のはなんだろう? ポルターガイストともちがうような気がするけど、こんなお化けならこわくないぞ」