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海野ごはん
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ギャンブラー物語

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「おい、モモ、おまえの軍資金はいくらだ?いくら持ってきた」
「へっ?そんなにないよ。金持ちじゃないんだから。5万円くらいかな」
「5万円か・・それでいくら勝つつもりだ?」
「別に・・勝てればいいかなぁ~と思ってるだけだけど」
「目標を持てよ。やる気が違うだろ」
「じゃ20万円。あんたは?」
「俺の目標は1000万円だ」
「はっ?馬鹿じゃないの」
「今、手元に100万円ある。俺の全財産だ。これを10倍にするつもりだ」
モモは優作の顔を見た。ホントに馬鹿か、ホントにギャンブラーだ。娘の結婚式が目的じゃないのか。
「あんた、それ全財産なんでしょ。娘の結婚式に全部すったらどうするの?」
「その金は別に娘にやる金じゃね~からいいんだ。祝儀は別に用意している」
「祝儀に手をつけたら怒るよ、私・・・」
「おまえなぁ~、ギャンブルする前からもう負けた気になってどうすんだ」
「それも、そうね、だけど・・あんた・・ホントにギャンブラーだね」
「人生もギャンブルと同じだろ。そういやモモは離婚した負け組みだったっけ?」
「うるさい」
優作は自分も離婚したが負け組みとは思ってなかった。男の場合は勝ち組である。根拠はない。
ただ、離婚して自由を再度手に入れたから勝ち組なんだと勝手に思っていた。
「さあ、48時間のギャンブル開始だ。よしシャワーを浴びて着替えて戦闘開始だ」
そう言うと優作は、モモの前でさっさと裸になりシャワー室に消えた。
いきなり裸を見せられたモモは、優作の分厚い胸板にドキリとした。
案外、いい体格じゃん・・・。

二人でホテルの1階に下りるとスロットマシーンが並んでいた。はやる心を抑え、ホテルを出てエクスチェンジに両替しに行った。
ホテルより街の両替屋の方がレートはずいぶんよかったからだ。
クォーター=25セントの小銭をずいぶん貰った。スロットマシーン用だった。こちらではいきなり現金がそのままスロットに使える。チップもあるがホテルに並んだスロットマシーンは現金仕様が多かった。1ドルコイン用もある。
日本のスロットマシーンと違って現金決済だ。モモはスロット専用だ。
機械相手ならポーカーフェイスが下手でも大丈夫だからだ。
それと、バカラにルーレット。
これも笑顔とチップさえ上手にあげれば少々勝たせてくれる。
「当れば派手に喜べ」と優作から耳打ちされていた。
珍しい日本人のおばちゃんが陽気にルーレットで一喜一憂してると場が盛り上がる。5万円以内なら笑顔でサービスしてくれる。そして、儲かった所でとっとと引き上げる。切り上げ方がポイントだ。
勝った同情なんか見せずチップを1枚でもあげりゃ十分だ。勝負は常に非情なのだ。いかにして勝つか?頭を絞るしかない。

優作はブラックジャック専門だ。
これは駆け引きの世界とヨミだ。ディーラーとの運勝負というのが強い。
だから、ディーラーとの相性が問題になる。
時間はかかるが荒野の決闘よろしく一騎打ちとなる。
人間が絡んだ勝負は優作は強かった。
今までにギャンブル以外でも修羅場に近いものを経験したせいだろう。
そしてセンスがいる。ギャンブルのセンス、これはもって生まれたものだ。
駆け引きの糸を操るセンス。
負けているようでも大事な勝負の時には絶対勝つ。それを操れるものが勝ち残れるのだ。

作品名:ギャンブラー物語 作家名:海野ごはん