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海野ごはん
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ギャンブラー物語

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優作とモモがショットバーを出たのは夜が明ける5時くらいだった。
二人はお互いの家に戻り、そのまま空港へ直行した。
8時のエアラインカウンターは空いていた。
夏のバカンスをはずしたこの時期は観光客もいなく、たいがい席は空いているはずだった。いきなりの予約なしのロス行きの飛行機の座席は心配することなく空いていた。
出国手続きを終え、ロス行きの飛行機に乗った1時間後には二人とも爆睡していた。
機上、何度か目が覚めたがその度、サービスのスコッチを喉に落とし込むとまた眠りについた。
西風の偏西風が強かったのか、いつもより30分早く飛行機はロスの空港に着陸した。
そしてそこから、アメリカ国内線のベガス行きに乗り換えると、今度は眠る時間もなく到着した。

空港を出るとすぐ砂漠の乾いた熱風が歓迎してくれた。

「あつ~~い」モモは嫌がるようにすぐエアコンの効いたタクシーに乗り込み
「さっ、さっさと腕試しに行こう」と言い出した。
「ホテルが先だろ。まぁ~いいか。どうせホテルの下にカジノがあるはずだから」
ロスの空港から予約したホテルの名前を運転手に告げると、無愛想な黒人の運転手は車を出した。

ラスベガスの町はテーマパークのような街づくりをしていた。
大きなビルボードの看板には金髪のグラマーなお姉さんの笑顔。
ビルから飛び出したジェットコースターのレールの上を突然騒音を鳴らして走り抜ける嬌声。
カジノのショータイムのCM。大きな噴水の歓迎のような水飛沫。
観光客も多い。白人、黒人。黄色、日本の団体様。遊園地のようだ。
「ところで結婚式はいつあるの?」
「あさってだ」
「部屋は?」
「ひとつだ。どうせ帰らないだろ」
「ふ~~ん、あんたと同じ屋根の下か・・・」
ホテルは映画に出てくるような豪華な部屋ではなかった。
ただ、インテリアはおしゃれだった。
安いツアーのホテルよりはましだろう。
窓の向こうに火星のような砂漠が広がっていた。
何もない薄茶色の広い空間。こんな所によく街を作ったものだ。
モモは映画を思い出した。
「バグジー」マフィアのギャングがたしかこの街を作ったはずだった。
主人公のウォーレン・ビーティはいい男だった。今、私の横にいる男は2年前からの付き合いだが優作の苗字も知らない。
くわえタバコにポーカーが強いって事だけがよく知ってる。そして酒も。
免税店で買ったスコッチを早くもラッパ飲みしてる。
ウォーレン・ビーティまでは行かないが
まあ、その歳にしたらハンサムだからいいかとモモもグラスを探し出し、
優作から酒を注いでもらった。




作品名:ギャンブラー物語 作家名:海野ごはん