Sunlight-あたしと彼女の小生意気奮闘記-(1)
「!」
無数の黒い紐によって体の自由が奪われる。
そして、目の前には、
「さあ、もっと闇に染まるがいい」
一反もめんみたいな、体中が歪んだ紫色が点滅した、地獄からの使い魔的な奴が現れる。
「またかよ」と思う。いや、何年も見ているか。絶望をしたときからずっと。
紙のような手を未知流に向けて突き出した瞬間、未知流はズルズルとブラックホールみたいな渦巻く空間へと引きずり込まれていく。
いやだ! と思ってもこれが自分が見ている現実だ。何も変えることができないもの。手を伸ばしたって繋ぐ人もいない。だから、縛られて当然。いっそ、死んで闇と同化したい。そんな気分。
でも、せめて、あの世に行く前に自分がこの世にいたという証だけは、せめて。
そんな淡い願いを想った瞬間、
「させないよ!」
「!」
上空から声が聞こえてきて、黒に染まった空間がピカーッと白く晴れていく。今までとは違った展開だ。普段はブラックホールに引きずり込まれる前に、ガバっと起きるのが定番であったのに。
作品名:Sunlight-あたしと彼女の小生意気奮闘記-(1) 作家名:永山あゆむ