Sunlight-あたしと彼女の小生意気奮闘記-(1)
「やだ! 離せよ!」
せっかく手に入れたものなんだ! あたしにとって、人生でかけがえのないものなんだ! それを欲(ほっ)してなにがいけないんだ!? もう戻りたくないんだ!
(おまえの居場所は、ここじゃない)
「!?」
あたしの心の叫びに反応するかのように、不気味な男の声が聞こえてくる。もしここが地獄ならば、閻魔大王? それとも死神の声なのか?
(おまえの居場所は、鳥かごの中だ。お前には孤独がふさわしい)
鳥かごの中? 冗談じゃない! 『あの頃』に戻るのはイヤだ! 『今』の自分がいいんだ! あたしは抜け出そうとするが、抜けることができない。
(いつまでも皆(みな)とは、いることができないのだ。楽になるがいい。私に従えば、痛みを抱えずに済むのだ)
いることが……できない。
ドクン、とあたしの心臓が跳ね上がる。
「やだ……やだ……」
作品名:Sunlight-あたしと彼女の小生意気奮闘記-(1) 作家名:永山あゆむ