Sunlight-あたしと彼女の小生意気奮闘記-(1)
あたしは汗でぬれた額に手を当て、安堵の息を漏らす。大げさに。
どうやら悪い夢を見てしまった。
約一年半ぶりだろうか。彼女に出会って以来、それを見ることは一日たりともなかったのに……。
悪夢はなぜか覚えている。不思議なことに。世の中と同じく。身体が教えてくれるのだ。両手が麻痺したように震えている。そして、脳裏にもきちんと焼きついている。
――彼女とナル男とター坊、それから彼女と同じクラスの竹下実緒(たけしたみお)とあたしと同じクラスの演劇カップル。
下から順番に、一人一人があたしの前から姿を消していく。そして最後には、あたしの高校生活の中で最も時間を費やした彼女――麻倉音緒(あさくらねお)の姿が……。
「みっちぃ」
暗闇の中で、あたしと彼女が向かい合っている。笑顔が、いつもの太陽のようなスマイルではなく、冷たく感じる。
その表情で、
「さよなら」
じゃあね、とか、バイバイ、とかではなく、別れの言葉。
なんだよ、さよならって……もう会えないのかよ!
作品名:Sunlight-あたしと彼女の小生意気奮闘記-(1) 作家名:永山あゆむ