Sunlight-あたしと彼女の小生意気奮闘記-(1)
まったく、上流社会で生きる人間じゃないのに。ただ親が、強いだけだっていうのに(まあ、自分もキッチリ鍛えられてはいるが)。関係のないあたしにまで突きつけんなっつーの!
あたしはブツブツとこの世の誰かに向けた文句を呟きながら、居心地の悪い服を着て、右隅にある勉強机に、あらかじめ筆記用具などを入れた白抜きで校章が描かれている真っ黒い鞄を持つ。
こういうのだけはきっちりしなくては。『お嬢様』と世間では思われている限り。ああ、いいさ。そういうキャラを貫き通してやるさ! キッチリと上品なキャラを演じてやるさ!
勢いよく鞄を取り、ドス、ドス、と重苦しい音を立てながら階段を下りて、母さんのいる台所へとあたしは向かった。
あぁ、また始まる。
憂鬱な日々が。
――そんな二〇一一年四月八日。
岩国総合高校の入学式。
【第二章へ】
作品名:Sunlight-あたしと彼女の小生意気奮闘記-(1) 作家名:永山あゆむ