Sunlight-あたしと彼女の小生意気奮闘記-(1)
「原点?」
「ああ」
未知流は、空を見上げた。
夕闇空が今の自分の心境を映しているように見えた。ごちゃごちゃに入ったおもちゃ箱のように、中身は希望と不安のカケラがバラバラだ。
それをきっちり修復して、一つにしたい。『青春』という言葉に変えて。
二年前、いやそれ以前の『あの頃』とは違うのだ。
あのときの心はこんな空ではなく、星も太陽も何もない、悪夢で見た『無』であったときとは。
だから――。
「――あたしの『青春』はここから始まったんだ。あんたと初めて会ったあの日から」
未知流はゆっくりと目を閉じた。春と冬が混じった、生ぬるい風を感じながら。
作品名:Sunlight-あたしと彼女の小生意気奮闘記-(1) 作家名:永山あゆむ