Sunlight-あたしと彼女の小生意気奮闘記-(1)
やっぱり、彼女は自分にとっての『ヒーロー』だ。
「みっちぃ、守りたいものって何?」
ネオが訊ねる。
「ここ、だよ」
「ここ?」
気分が少し晴れた。不安に駆られていた声音が、少しだけ元に戻った気がする。
「うん。あんたが『あの頃』からあたしを救ってくれて、そして今日までずっとこの場所で、自分の好きなことができて……一年のときに会ってなかったらきっと、友達もいないまま、小、中、高、心から学校を楽しめないまま、十代を過ごしていたと思う。きっと」
彼女と会えたのは奇跡だったと、未知流は思う。
『あの頃』の自分に、「もう苦しむ必要なんてないのよ」と、神様から与えられたのかもしれない。その御使いがネオだ。今の実緒のように、自分も影響を受けていたのだ。ネオ菌に。悪玉ではない、善玉菌に。
だから、言いたい。
自分の気持ちを。今までネオがそうだったように。
こんな自分でもいいのかという、自信をつけるために。
「……あたしがこんなことを言うのは、今しかないと思うんだ。後から話したら、間に合わないと思うから。ネオのことをどう思っているのか、知ってほしい。『原点』から」
作品名:Sunlight-あたしと彼女の小生意気奮闘記-(1) 作家名:永山あゆむ