Sunlight-あたしと彼女の小生意気奮闘記-(1)
自分の気持ちが負の感情でいっぱいになっていることを見抜けるとは、さすがネオだ。実緒のときといい、観察力は、人並み以上だ。
他人と同じ気持ちになろうとするからこそ、彼女は友達が多いのだと思う。実緒がああなったのも、ネオの影響を受けているに違いない。
ネオほど『ヒーロー』という言葉がふさわしい人物はきっといない。
「みっちぃ、わたしも力になりたいよ! 前にみっちぃがわたしに頼ることを教えてくれたように、頼られる存在になりたいよ!」
両肩を掴むその手が、未知流の悲壮感を和らいでくれる。絆でつながるもの同士、お互いの心が一つになっているように。
だから、嘘はつけない。強がっていても。
「ありがとう。ちょっと、自分のへなちょこぶりに、失望していただけだよ」
微笑顔をなんとか作って、心配そうなネオの頭をそっと撫でる。
「どうしたの?」
「いや、明日から三年生になるだろ?」
「まあ、そうだね。春休みだけど、四月一日から一応そうなるよね」
ネオはコクン、と頷く。
「そう。あたしたちの最後の年であり、別れの年でもあるんだ」
作品名:Sunlight-あたしと彼女の小生意気奮闘記-(1) 作家名:永山あゆむ