Sunlight-あたしと彼女の小生意気奮闘記-(1)
未知流はネオに顔を見せないように後ろを振り向き、3歩ほど前へ進む。
これがせめてもの強がりだ。
あたしのキャラは世話焼きで、泣かないキャラだから。それが誰もが知っている『長郷未知流』だ。
だから、もし零れたときの保険として、こうあるべきだ。
ネオは、プレハブ小屋の弓道場の方を見つめている未知流を、その場で佇んだまま見つめた。
「だから、今のうちに話しておきたいんだ……あたしの、気持ちを」
「え?」
ネオは目を丸くする。
未知流はこの先――卒業したあとのことを考えているのだろうか。
そんなわけないじゃない!
「ちょ、ちょっと待って! わたしは、離れていたって、みっちぃのことは忘れないよ!?」
張りのある声で伝えるネオ。
「ネオならそう答えると思ったよ」
未知流はフッと微笑む。
やっぱりネオは優しい。
「だけど、不安なんだ。みんな、前へと向かっている。『夢』のために。あたしはネオたちの背中をずっと見ているだけだ。『夢』も『目標』も何もなく、ただポツンと、鳥かごの中で飛べない鳥だ」
作品名:Sunlight-あたしと彼女の小生意気奮闘記-(1) 作家名:永山あゆむ