Sunlight-あたしと彼女の小生意気奮闘記-(1)
大学もネオたちとは違い、『ただ』決めただけ。興味があった広島県の大学に決めた『だけ』。ネオは音楽大学に入ることを決めているし、実緒も美大に行くことを固めている。
つまり、『夢』を追いかける者たちを見過ぎたのだ。だからこそ、不安、焦り、恐怖に陥ってしまうのだ。ネオも実緒も、そして、同じクラスの演劇部カップルも、自分の視界に入る者は、自分のいないところで前に行こうと努力している。
自分以外は。
鳥かごの中で、自分だけが取り残されている。
昨日見た悪夢は、心の距離も表現していたのだと、未知流は実感した。そしてそれは、やがて訪れる。きっと、卒業をした先に。少しずつ、離れていくのだろう。友達と自分との違いに、惨めになりながら。
それは、正に必然。
だったら。
だったら、せめて……。
『あの頃』――一人ぼっちのときにならないように、彼女にあたしのことを繋ぎ留めなければ。永遠に、覚えていてほしいから。
「……ちぃ……」
うん。たまには、本心を伝えるのは悪くはない、よね。自分の事を、知っててほしい。
作品名:Sunlight-あたしと彼女の小生意気奮闘記-(1) 作家名:永山あゆむ