Sunlight-あたしと彼女の小生意気奮闘記-(1)
そんな彼女の後ろから、大声で、
「みっちぃ――っ!」
「ひゃっ!!」
自分らしからぬ裏声を上げ、背中に電撃が走る。
振り返ると、立て看板を持って大股開きになっている『moment’s』のリーダー兼部長の麻倉音緒(あさくらねお)が首を傾げていた。ちなみに『みっちぃ』とは未知流の愛称である。
「何、驚いてるの?」
「な、なんでもない! 黄昏てて、ボーっとしていただけだから!」
「へぇー、しっかり者のみっちぃが珍しいわね。昨日もそんな感じだったけど……おっとっとっと!」
「ネオ!」
ガシッ、と倒れてくる看板を右手で支える。ギターケースの重みが、右肩にのしかかる。
「あ、ありがとう」
「まったく……こんな縦長い看板を一人で持とうとするなんて、無茶しすぎだっつーの!」
「だって、みっちぃを驚かせたかったんだもーん!」
無茶してまで、やることなのか? まあ、こいつの無茶には何十回も付き合っているから、不思議と普通に見えるので問題はないが。ちょっとかわいこぶっているところが妙にイラッとするけど。
作品名:Sunlight-あたしと彼女の小生意気奮闘記-(1) 作家名:永山あゆむ