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永山あゆむ
永山あゆむ
novelistID. 33809
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Sunlight-あたしと彼女の小生意気奮闘記-(1)

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 そして、部の目標であった、十月に行われた総合祭(そうごうさい)のステージも、音楽の力で人の心を助けるという、大それたことすらも。

 全てがうまくいきすぎている感じがして、未知流にとっては夢のような日々であった。まあ、頬を引っ張れば現実だと分かるのだが、そう思えるのだ。

 『あの頃』を思い返すと。ほんとに。

 『あっという間に一年間が過ぎたという感覚』を味わっていなかったのだから。『充実』という言葉が表現できないほど、体内時計の秒針は鈍っていた。それが急に早くなった。光のように。

「あと一年……か」

 明日で一応、学校年度上、三年生に進級。最後の高校生活の始まりだ。

ずいぶん遠くまで行ったような気がする。日本で言えば、北海道に上陸したぐらいの距離。もちろん、歩きで。

 こんなふうに、学校生活が淋しく感じるのも体感したことがなかった。これが『青春』とでも言うのだろうか。

 すると強い風が急に西から東へと吹き込んでくる。春の華やかな香りを運び、黒髪を揺らし、右肩に背負っているギターケースを揺らし、その重みがバランスを崩しそうになる。なんとか踏ん張る。