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『3』の欠落

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こんなやり取りを見ていた観音さま、突然に宣われる。
「一郎君、あんたは優しいんだね。だからご褒美にあなたに55億6834万1024を、永久番号として貼り付けて上げるわ」
高見沢は、「そんな大きな数字を頂いても、意味不明ですよ」と返してしまった。

するとお数字観音さまは高見沢にそっと寄り添ってきて、耳元で囁かれるのだ。
「5568341023、言い換えれば、心優しいお兄さん」

高見沢はこのクラブ風言い寄りにクラクラっときた。思わず観音様を抱き締めそうな衝動に駆られた。
それを全部お見通しなのか、「一郎君、アナタには妻のなっちゃんがいるんでしょ。あなたは単身赴任で気楽でも、なっちゃんはなっちゃんで大変なんだから。だからその5568341023の前に、0752を付けるのではなく、01052を念のため貼り付けて上げるわ。数字を間違ったらダメよ」と注意してくれる。

いつの間にか身を起こしていたお数字地蔵さんが「0752、つまり、おなごにじゃなく、01052、おとこにだよ。『男に心優しいお兄さん』でいろよ」

「そうよ、『3』を取り戻し、その上に、15桁の『010525568341023』をしっかりと貼り付けて上げたわ。オフィスレディと三角関係に陥りたいなんて、不埒なことを考えず、しっかり精進しなさいよ」
高見沢は頷くだけで、もう返す言葉がなかった。

「じゃあ、奪回/貼り付けパッケージプログラムは全部終了、我々は引き上げるから・・・・・・お値段は『3』のてんこ盛りの33,333円、これ安いだろ。さっ、『3』という数字、どこまでも大事にするんだぞ」

「はっはー、わかりました」
高見沢は心底深々と頭を下げるのだった。

                      おわり
作品名:『3』の欠落 作家名:鮎風 遊