【無幻真天楼 第十四回・弐】ひまわり
「…京助、悠助」
「あ?」
竜が京助と悠助を呼ぶ
「いいか?」
「あ…ああってか何が?」
慧喜を抱き締めたまま顔をあげた悠助もきょとんとしたままで竜を見る
「むかつく…」
ぱりぱりという空気を纏う帝羅がちらっと横目で京助を見た
「大事なんだ…へぇそいつ…」
そしてこんどは悠助を見て
「…ふぅん…」
ニッと帝羅の口元が上がった
「面白いよね自分が一番じゃないって…僕様にはわからないよ」
「そりゃそうですよ上」
聞こえた声に帝羅の上がっていた口元が元に戻る
「清浄…なんだ…」
坂田と阿修羅に支えられながら清浄が帝羅の前に立った
「上、貴方は常に一番だったんですから」
「そうだよ僕様は一番なんだ」
ふふんと帝羅が鼻で笑う
「可哀想に」
清浄が言うと帝羅の目が見開いた
「かわいそう? 僕様が? かわいそう」
「ええ…自分が一番ということは自分しかいないということなのですから…誰も思わず誰も見ず自分しか見えない思わない」
帝羅の顔がだんだんと険しくなる
「まぁ要するに激しい自己中ってことか」
「過激ナルシーとでもいえますけども」
中島と南が緊張感あふれんばかりの雰囲気の中あいかわらずの会話をする
「僕様がかわいそうなわけない!」
帝羅が叫ぶと清浄がフッと口の端をあげて笑った
それを見た帝羅が更に眉を吊り上げる
「帝羅様、確かに貴方は強い」
「…今更弁解か? でもそうだ僕様は強い」
「でもここにいる者達は貴方よりはるかに強い」
清浄の言葉に一同が驚いたような顔で清浄を見た
作品名:【無幻真天楼 第十四回・弐】ひまわり 作家名:島原あゆむ