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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【無幻真天楼 第十四回・弐】ひまわり

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泣きわめくちみっこ竜の横で泣き顔の母ハルミと対照的に穏やかな微笑みでヒマ子がゆっくり何かを差し出した
両手…いや両葉に包まれていたそれは赤く小さな宝珠
偶然に偶然が重なってヒマ子の鉢の中に入り込んだ迦楼羅の宝珠
ヒマ子がこうして話したり動いたりできるのはこの宝珠のおかげだった
「ヒマ…子さん…?」
「…京様は私の太陽ですわ…ハルミママ様」
ヒマ子が4人のちみっこ竜を見渡して目を閉じた
「向日葵は太陽に恋をして花を咲かせます…その太陽がなくては…私、生きている意味がありませんわ…この玉には不思議な力が溜め込んであると聞いておりますの…私がこうしてハルミママ様とお話ししたりできるような不思議な力が…」
「…ヒマ子さん…」
「良妻は…夫の役に立ってこその良妻ですわハルミママ様…私、京様の…お役に立ちたい…立てますでしょうか…」
ゴトゴトと鉢を引きずって泣きわめき続けるちみっこ竜の側で茎を曲げたヒマ子がそっと両葉を開き中にあった宝珠を見つめた
「私…京様に恋をして…幸せでした」
ヒマ子の少し厚目の唇がゆっくり弧を描く
両葉で宝珠を4人のちみっこ竜の真ん中に置いた
置かれた宝珠からほのかに光が生まれる
さぁっと風が入り込みヒマ子の花びらを揺らす
やがて部屋全体を包み込むような大きな光になったそれはヒマ子を飲み込んだ
「京様の笑顔が私の全てでした…わ…京様…」
黄色い花びらが一枚光の中にから外へ舞い上がった