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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【無幻真天楼 第十四回・弐】ひまわり

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「大丈夫、緊那羅だよ緊那羅」
「…烏倶婆迦…」
「ね? 京助」
「へっ? あー…ああ」
いきなり振られて慌てながらも京助が返す
「…お前は緊那羅だ」
少し間をおいて京助が言った
「京助…」
「なんだよ」
緊那羅が数歩京助に近づくと京助の服を掴む
「ごめん…だっちゃ私…あの…」
「…しゃあねぇなぁっとに」
溜め息をついて頭をかいたあと京助が服をつかんでいた緊那羅の手を握った
「あーあしょっぺー」
握り返してきた緊那羅の手
「…京助」
「大丈夫だ【緊那羅】」
「…うん…うんっ」
「泣くな;」
京助が緊那羅の額を小突くと緊那羅が半べそで笑った
「…らぶらぶだぁねぇ」
「まぁ跡取りは悠が請け負うからええんじゃねぇか?」
「こらそこ! 何納得してんだ」
中島と南がうんうん頷きながら話しているところに京助が突っ込む
「いやいやお構い無く」
「お構いあるわ!大いにあるっちゅーねん!」
さわわ爽やかに流そうとした南に京助がさらに突っ込み怒鳴った
「いいじゃん現にらぶらぶだぁねぇなんだし」
「なにがだどこがだだれがだっ」
「あーなーたーとこーなーたー」
「…こなたって誰だっちゃ…」
大きな栗の木の下での振りつけをしながら中島と南が歌うと京助が更に更に怒鳴りさりげに緊那羅も突っ込みを入れる
「…」
「…」
「…」
「…」
その後揃った沈黙
「なぁ…なんか…」
「うん…なんか…なぁ」
「そう…だっちゃね…なんか…」
「足りない…よな…」
四人揃って顔を見合わせる
「…あ…」
四人揃って足りないという何かに気づいた


母ハルミが見上げている向日葵
どこにでもある太陽に向かって花を咲かせるその姿は見る人を元気にさせる
「…ヒマ子さん…」
動かなくなった話さなくなったその夏の妖精
母ハルミの頬を一筋の涙が伝った