【無幻真天楼 第十四回・弐】ひまわり
「だ…いじょうぶナリか?」
「大げさだよ…ただ気を失ってただけだよ…大丈夫」
ゆっくりと体を起こした矜羯羅が制多迦を見るときょとんとした間の抜けた顔をしていた制多迦の頬を思い切り引っ張った
「…ひゃひゃひいひゃいいひゃい」
「またおかしなこというからだよ」
「…ひゃいー」
両頬を思い切り引っ張られた制多迦が両手をじたばた動かす
そんな二人を慧光がどうしていいかわからずにおろおろしながら見ていると矜羯羅が手を離した
「自分にできることを見つけようとすることも自分にできることなんだよ…むしろ自分にしかできないことなんだ」
「…んがら…」
「ほらいくよ、まだ…だろ?」
スッと立ち上がった矜羯羅が制多迦に向かい手を差し出した
「あーあ…むかつく…疲れる…むかつく…」
帝羅の回りの空気がパリパリと殺気を帯びていく
「誰の力奪ったのかわからないけど…」
フンと鼻で笑いながら竜をみた帝羅を竜がにらみ返した
その竜の回りの空気も次第に殺気を帯びていくのがなんとなく感じられたのか南が腕をさすりはじめる
「操…」
帝羅がまた操の名前を口にする
緊那羅がぎゅっと拳を握りしめると烏倶婆迦がそんな緊那羅に抱きついた
作品名:【無幻真天楼 第十四回・弐】ひまわり 作家名:島原あゆむ