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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【無幻真天楼 第十四回・弐】ひまわり

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風鈴が鳴るかならないかの弱い風が家の中に入ってきた
【少し前】まであちこちが破壊されていた家の中は何事も無かったかのように元通りになっていたがそこに笑い声はなく
「…ヒマ子…さん…」
和室の片隅にある枯れかけている向日葵に向かい名前を悠助が呼んだ
畳の上には黄色い花びらが数枚落ちている
誰も口を開けないでいた
「ねぇヒマ子さんヒマ子さんってばっ!!」
「悠…」
京助が悠助の肩に手を置いて向日葵を見た
その京助の隣にいた緊那羅が一歩前に出て向日葵に触れる
「ヒマ子さん…守りたいもの守ったんだっちゃね…」
そして京助を見た
「…」
京助の眉が少し動いた
「京助…」
「悪ぃ…ちょ い」
中島に呼ばれた京助だったが振り返らず言葉を詰まらせた
悠助の肩に置いていた手に力が入る
「京助…?」
悠助が京助を見上げた
「悪ぃ…悠…ちょい…」
さっきと同じような言葉を言った京助
「…俺らあっちいってる わ」
「あ うんそうだな」
南が悠助の手を取り先に部屋から出て行こうとしている中島の後を追う
「京助 ヒマ子さんちゃんと起きるよね? 前もちゃんと起きたから大丈夫だよね?」
「そ うだな」
「じゃぁ僕お風呂はいろーかなっ」
京助の言葉を聞いた悠助が南の手を解いて廊下をかけていった
和室には緊那羅と京助が残った
コツン と緊那羅の肩に何かが当たり緊那羅が肩を見る
「…きょ…」
京助が緊那羅の肩に頭を乗せていた
京助がだらんと下げた両手を動かすこともなくただ緊那羅の肩に頭を預ける
「京助…」
「うるせぇ…」
緊那羅が呼ぶと京助が震えた声で返してきた
肩にじわっと暖かさを感じた緊那羅が京助の両手を手を掴むと
「泣けっちゃ」
ぐいっと京助を引き寄せ抱きしめた
「泣いてねぇよ」
「うん」
「誰が 泣くか」
「うん」
「…っ」
緊那羅の服を掴む京助の手に力が入る
肩につけられた頭を緊那羅が撫でた
「京助」
「ひ…っく…」

熱い息を胸に受けた

痛いくらいに抱きしめ返された

肩が濡れているのがわかった

甘え方がわからなくてへたくそで

強がって泣き方もへたくそで

「京助…」

今はただあなたが泣けるよう
私はここに居る

緊那羅が京助を抱きしめた