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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【無幻真天楼 第十四回・弐】ひまわり

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迦楼羅を抱きしめる乾闥婆の周りの空気が変わった

『ごめんなさい…』

声がした
聞いたことのある 懐かしい 遠い 遠い 記憶の中で聞いた 声

顔を上げた乾闥婆の頬に白い手が触れた
でもそれは実態ではなく幻と呼べるもので向うが透けて見えた
「さ…」
乾闥婆より先に迦楼羅が口を開いた
「沙羅…」
にっこりとでも悲しそうに微笑んだ沙羅が乾闥婆の頬から手を離し踵を返し倒れている制多迦と矜羯羅の傍に座ると二人の体に触れた
優しい空気がその場に流れる
そして立ち上がると今度は帝羅を見た
「お前も…お前も僕様に…っ」
『…』
無言のまま帝羅に近づいていく沙羅
「沙羅!!」
乾闥婆が叫ぶように沙羅を呼ぶ
『…---』
沙羅から返された言葉は名前
懐かしい名前
目を見開いた乾闥婆を迦楼羅が抱き寄せる
それを見た沙羅が顔を曇らせた
「近づくな!!」
再び帝羅と向き合った沙羅に帝羅が叫んだ
その帝羅の言葉を耳に入れず沙羅が帝羅に向かい手を伸ばした
「触るなぁああーーーーーーーーーーーッ!!!」
伸ばした沙羅の手が帝羅の腕をつかんだ
乾闥婆には触れられなかった幻の沙羅の手はしっかりと帝羅の腕をつかんでいた
「放せ…放せ放せッ!!」
まるで小さな子供のような駄々をこねだした帝羅
「上!!」
指徳が立ち上がるり沙羅の手を掴もうとするが不思議と掴めない
ふと沙羅が顔をどこかに向けそして微笑む
沙羅の視線の先には京助、そして悠助と竜