【無幻真天楼 第十四回・弐】ひまわり
「慧喜…だいじょうぶナリか?」
「うん…」
「清浄も」
「ああ…大丈夫だ」
慧光によって治癒された清浄と慧喜がやや後方から帝羅を見る
「…柴田…」
そんな清浄の隣で坂田が不安げな顔で清浄を見上げていた
「お前…」
「たくさん…あります若に話したい事、話さないといけない事…」
清浄が柴田の笑顔で言った
「そんな…そんなたくさん話さねぇと駄目な事あんのににお前は…ッ お前はッ!!!」
「ああ; だからすいませんって; ほら泣かないでください若;」
「泣いてねぇッ!!!;」
「泣いてるじゃない」
慧喜が突っ込む
「な い て ね ぇ ッ!!;」
坂田が怒鳴ると ぐすっ と鼻を啜る音が聞こえ
「っ…」
「慧光も泣かないの;」
今までこらえていた慧光の目から滝のように涙が流れた
「うぇええええ…ッ」
「あーもーッ!!」
声を上げて泣き出した慧光を慧喜が叩いたあと抱きしめる
「…ありがとう慧光…ごめん…ありがとう…」
そしてそのまま更に慧光を抱きしめた
「若」
「なん…っ」
呼ばれて返事をした坂田を清浄が抱き寄せた
「ありがとうございます 若」
「なんで礼…俺何も…」
「俺が言いたかったんです」
坂田からの返事は無かった
作品名:【無幻真天楼 第十四回・弐】ひまわり 作家名:島原あゆむ