【無幻真天楼 第十四回・弐】ひまわり
「お前達上に対して…」
「どきなよ指徳」
帝羅をかばうように前に出た指徳を矜羯羅が睨むと指徳が一瞬身をすくめた
「…とく…」
制多迦も指徳をたぶん睨んでいるんだろうがいまいち何故かしまらない
「どいつもこいつも…」
「オランダも」
震える声で言った帝羅の言葉に京助が付け足すと中島と南が声を殺して笑った
「僕様は…ッ」
帝羅の目が見開くと同時に迦楼羅が光の弦から指を放す
「上!!」
その矢は指徳の肩をすり抜け帝羅へと
「上…ッ!!!!」
辺りが光に満ちた
「まぶッ;」
あまりのまぶしさに京助たちも目を瞑った
「笑うと幸せになるって幸せになったらみんな笑うからまたみんな幸せになるって」
お面をはずした鳥倶婆迦がポツリと言った
「だからおいちゃん…いつも笑ってるようにこれつけてたんだそうしたらいつも笑ってる」
はずしたお面をぎゅっと握って鳥倶婆迦が言うと母ハルミが鳥倶婆迦の頭をなでた
「おいちゃんの計算では…みんな笑ってるはずだったんだよ…?」
「うぐちゃん…」
「おいちゃん…ただ笑っててほしいだけなんだよみんなに制多迦様にも矜羯羅様にも京助にも緊那羅にも…ッ」
鳥倶婆迦の目からまたポロポロと涙が溢れ出した
「幸せだったら【時】も来なかったかもしれない そしたら…」
言いかけた鳥倶婆迦の言葉はまぶしすぎる光でさえぎられた
作品名:【無幻真天楼 第十四回・弐】ひまわり 作家名:島原あゆむ