【無幻真天楼 第十四回・弐】ひまわり
「制多迦!」
「…け」
矜羯羅に呼ばれた制多迦が頷くと矜羯羅とついになる形で構え見事というしかないような揃った手の動きで何かを中に描いていく
二人の手の動きの後には光の跡
帝羅の纏う光と風が渦を巻き始める
パンッ!!
と制多迦と矜羯羅の手が合わさると弾けた光が玉となって広範囲にわたり飛
び散り半円状の光の結界を形作った
結界が完成するとほぼ同時に迦楼羅の羽がさらに大きく広がる
まるで迦楼羅の後ろにいるすべてをかばうかのように広がった金色の翼
「迦楼羅!!」
「下がれ」
叫んだ乾闥婆とは対照的に静かに言った迦楼羅の声が響く
「…沙紗」
乾闥婆の動きが止まった
竜と阿修羅が苦い顔で迦楼羅と乾闥婆の背中を見ている
「迦楼羅…」
呟いた竜を京助が見上げそれから迦楼羅を見た
「…その名前は…僕は…」
「下がっていろ…」
迦楼羅の触覚が帝羅の風に揺れる
乾闥婆の頬を一筋雫が伝って落ちた
作品名:【無幻真天楼 第十四回・弐】ひまわり 作家名:島原あゆむ