【無幻真天楼 第十四回・弐】ひまわり
「…弱いくせに」
吐き捨てるようにいった帝羅が腕を下ろす
「…いじょうぶ?」
制多迦がにっこり笑って乾闥婆を振り返った
「これで貸し借りなし…だね」
ばさっと羽衣を翻した矜羯羅がフッと笑う
「むかつくんだ…」
パリパリッとまた電流のような音がして帝羅の周りが光り始めた
「迦楼羅…」
「大丈夫か乾闥婆」
青年姿になった迦楼羅の背中にかばわれていた乾闥婆が迦楼羅に声をかけると迦楼羅が振り返らずに言葉を返してきた
「迦楼羅…僕は…また貴方に…」
「…今度は」
「…え…?」
「今度はワシがお前を守る。だからお前は何もするな」
「なっ…」
迦楼羅の言葉に乾闥婆が大きな目をさらに大きくして口をパクパクさせる
「何言ってるんですか嫌です貴方こそ下がっててください」
「いだだだだッ; 痛いわ!! たわけッ!!;」
「あ、久々に見た」
迦楼羅の前髪を思い切りひっぱる乾闥婆を見て中島が言う
「何してるんだよ…」
矜羯羅が溜め息をつくと制多迦がヘラリと笑う
「ほんっとう…緊張感あるんだかないんだか」
「ハッハッハ、おんもしれぇ」
呆れて笑う清浄に阿修羅も笑った
作品名:【無幻真天楼 第十四回・弐】ひまわり 作家名:島原あゆむ