夢見てばかりもいられない
[時計]
目覚まし時計が鳴った。
理或は手を伸ばしボタンを押した。
「今日は日曜日だ。目覚ましなんてかけるんじゃなかった」
理或は、再び眠りに入る。
止めても止めても何度も目覚ましが鳴る。
「この時計壊れてるよ。もう要らないや。捨てちゃおう」
部屋の隅のごみ箱が見えた。なんて遠くにごみ箱があるんだ。
「広くなったな、この部屋。あ、ここ僕の部屋じゃないや。夢の中か」
ごみ箱めがけて投げ入れる。
「ナイス!よく入ったな。これで静かに眠れるぞ」
さてさて、夢の中で見る夢はどんなんだろう。
理或は眠る。
急に洗濯を始めた。タオルを何枚も何枚も干している。
干しては飛んでゆく。拾っては干す。
また違うのが飛んでゆく。待てよ。疲れるなー。
一枚のタオルが顔にかかる。取れない。もがくが取れない。
「苦しいよー」
あれ?また目覚ましが鳴ってる?
>>理或は、目覚める!
目覚まし時計は鳴っていない。それに鳴るべき時間は過ぎている。
床に散らばった裏ふたと乾電池…時計…止まってる?
携帯電話で時間を確認した。
「ぎょえー寝坊した!遅刻だぁー!!」
作品名:夢見てばかりもいられない 作家名:甜茶