夢見てばかりもいられない
[旅館]
また此処だ。
もう学生ではないのに修学旅行先のようだ。
階段が入り組んだ古い旅館。
グループごとに部屋に案内されて移動する。
ふと、覗いた部屋には、般若の掛け軸。
(あんな部屋じゃなくて良かった)
理或は怖がりだったのかな……。
お土産売り場に立ち寄った。
夢なのだから場面が飛ぶことも不思議ではない。
廊下が騒がしい。
「出たんだって。見つかると危ないんだって」
そう囁きながら同級生らしき女子が小走りに通り過ぎる。
影が動く。
理或はソレが来たと思った。
逃げる。息を潜め、体を縮め、部屋から部屋へと逃げる。
ふすまが開いた。こいつか…隠れ見る正体は般若の顔をしている。
まずい!気付かれた。
旅館の中を逃げ惑う。身を隠しているつもりがすぐに見つかる。
磨き上げられた板張りの廊下の角を曲がった。
階段。あ、落ちる(結構、落ちる夢は見る人多いよね)
>>理或は、目覚める!
「あ、あたたたっ」
冷や汗も引くように焦った理或は飛び起きた。
こむら返りを起こしてしまった。
作品名:夢見てばかりもいられない 作家名:甜茶